芥川龍之介 『虱』

  • 2012.09.26 Wednesday
  • 19:45
【あらすじ】
長州征伐に向う船上での話。
虱に悩まされる武士たちだが、森という武士が、虱を集めて “ 飼う ” と言い出す。虱が体にたかっていれば、痒いから掻く、掻くから温まる、温まるから眠くなる、眠くなれば痒いのも気にならない、というのだ。それから森を真似して、虱を飼う連中も増えてきた。

しかし、いつの世にも反対意見があるもので、中でも、変わり者の井上は、虱を見れば喰ってしまう。さすがに井上の真似をして虱を食う人間は、ひとりもいないが、森に対する反対から井上に加勢する人間は、かなりいる。

こういう行きがかりで、森派と井上派との間に、時折口論が持ち上がる。しまいには刃傷沙汰さへ起こるようになっていた。
船の上で虱の為に、刃傷沙汰を引き起こしている間も、五百石積の金毘羅船だけは、まるでそんなことに頓着しないように、遥々として長州征伐の途に上るべく、西へ西へと走って行った。

【えぐいが、いとしい】
虱を飼うだの、喰うだのと、流石にえぐい話に、引いてしまいパスしようかと思った。
あらすじだけでもまとめてみようと読み返してみたら、やはり芥川さんのテンポの良さに魅了された。

長州征伐に向う武士たちが、窮屈で不衛生な船上で次第にストレスが溜まっていく様子。
虱ごときで、口角泡を飛ばす議論を始め、しまいには刃傷沙汰になる様が、シャープな文体で面白く描かれている。討伐前の血気盛んな男たちの様子が目に見えるようで、何だかとてもいとしく思った。

余談。。
最近、芥川龍之介と里見と(たまに有川浩をはさむ(笑))を交互に読んでいたら具合が悪くなった。両者の文脈やテンポが両極端だからかも知れない。里見作品を続けて読む際には全く気にならなかった、というよりも、そのくどいように重ねていく長文が好きだったはずなのに、何故かもどかしく感じて頭に入ってこないのである。

芥川さんはテンポよく武家物を、里見さんは、長文を武器に商人や芸人を描いた作品が似合うような気がする。
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