映画 『山の音』

  • 2014.06.15 Sunday
  • 21:24
川端康成著『山の音』を読了後、映画にもなったと知り、見てみました。
成瀬巳喜男監督

信吾役 山村聰、嫁の菊子は原節子、信吾の息子-修一は上原謙。
1954年公開作品です、今から60年前。
 
山村聰、若い〜

鎌倉 二階堂あたりの街並みだそうです。

信吾が、さざえを3つ買って帰る魚屋さん。魚三商店って…。

ここじゃない? 今でも干物が美味しいと有名なお店。
 
昔はこんな生垣多かったよなあ。

「おと〜さま〜」って、やっぱり綺麗だ節子さま
 
「何を見てらしたんですか?」って冒頭の気になるシーン。信吾は最近、物を思い出せないことが多くなって悩んでるの。そん時の台詞。
どうも近頃、頭がひどくぼやけたせいか、ひまわりを見ても、すぐ頭のことを考えてな。
あの花のように、頭ん中綺麗にならんかね。頭をはずして、洗濯か修繕に出せんものかと、さっきも電車の中で考えながら帰ってきたんだよ。
 まあ。あっはは。
頭をちょいと胴からはずしてさ、洗濯物みたいに 「はい、これを頼みます」って具合に病院へ出しとくんだ。
 あっは、まあ、いや、お父様。
つまりさ、病院がこっちの脳を洗ったり修繕したりしてる間、3日でも1週間でも胴の方はグッスリ寝てるのさ。
 もう、お父様ったら。うふふ。
胴の方はね、グーグーって寝返りもしないで、夢も見ないでね。
 ねえ、お父様、お疲れなんでしょう? お体がまだ本当でないのかもわかりませんわ。
もう、一年経ってるよ。
 ねえ、もう一度レントゲンで看ておもらいにならないといけませんわ。
へえ。承知しました。
 うふふふ。
あはははは。

信吾はさっきの魚屋でさざえを三つ買ってきてたのね。ところが家族は、信吾・妻の保子・息子の修一・嫁の菊子の四人。どうして信吾が3つにしたかというと、息子が浮気をしていてまだ家に帰ってきていないのを知ってるから。
「おいくつ。」と亭主に聞かれて、信吾はちょっとつまった。
「さうだね。三つ。大きさうなの。」
亭主と息子と二人が、さざえに包丁の尖を突っこんで、身をこじ出すその刃物の貝殻にきしむ音が、信吾はいやだつた。
(中略)
家族は四人なのに、さざえを三つ買つた。修一が夕飯に歸らないとわかつてゐるから、嫁の菊子に氣がねをしたといふほどははつきりしてゐない。さかな屋にいくつと聞かれて、ただなんとなく修一を省いたのだつた。
川端康成選集 第9巻『山の音』( 新潮社刊 ) p.14 より


菊子が伊勢海老を買ってきていたことを知り「同じようなものを買ってしまったな」という信吾。
菊子はペロッと舌を出して言う。「江の島の茶店」
 

信吾の妻-保子 ( 長岡輝子 ) はあまり美人ではなく…近頃はいびきまでかくようになった。
 

こんな綺麗な妻がいるのに、なんで浮気をするのかねぇ。

裏山の様子、いかにも鎌倉の谷戸の風情。


娘の房子が子供を連れて出戻ってくるそうな…
 

出戻りの妹を迎えに行くっていうんで、会社の女の子-谷崎英子 ( 杉葉子 )との約束をキャンセル。
谷崎は、修一の浮気相手-絹子とも会ったことがあるっていうじゃないの。
 

娘の房子 ( 中北千枝子 ) 出戻ってきました。子供を連れて…。
 

信吾も妻の保子も、血をわけた娘の房子より、嫁の菊子の方が可愛いんだって。


信吾は修一の浮気を心配して、浮気相手と一緒に住んでいるっていう池田という女性に会いにいく。
 
この女性、誰かわかります? 丹阿彌谷津子さん。

池田も絹子も戦争未亡人。絹子は修一とのことを、こんな風に言ってるらしい。
「いい奥様ですもの。」と英子が口をはさんだ。
「英子さんが絹子さんにさう言つても、いい奥さまだから、自分が身をひくといふ女も、今は少うございます。よその人を返すから、私の戦死した夫を返せ、絹子さんはそんなことを言ひ出しますの。生きて返してさえくれさへしたら、夫がどんなに浮気をしたつて、女をこしらへたつて、私は夫の好きなやうにさせてあげる。池田さん、あなたはどう、と聞かれますと、それは夫に戦死された者は、私だつてさう思はないではございません。絹子さんは、私たちは夫が戦争に行つても、辛抱してゐたぢやないの? そして死なれた後の私たちはどうなの? 修一さんは私のところへ来たつて、死ぬる心配はないし、怪我もさせないで歸すんぢやないの?」
信吾は苦笑した。
川端康成選集 第9巻『山の音』( 新潮社刊 ) p.148 より


そんな折、嫁の菊子が友達の見舞に東京に行くって言い出したの。
で、信吾は東京の会社に出るついでに菊子を病院まで送って行くんだけど…
 

修一を問いつめると、菊子は妊娠した子をおろすってきかないんだって。
その理由は、浮気相手-絹子が妊娠したことも関係してるんだって。

家に帰ると、房子の子をあやす菊子がいるじゃない。

あまりにも不憫な嫁を思って信吾、浮気相手のところに向かいます。
 
 
初めて対峙する絹子 ( 角梨枝子 ) は、子供を産みたいと言って、修一に蹴っ飛ばされたり大変だったんだって。
で、「お腹の子はあなたの子じゃない。1人で育てる。」と言って、修一と別れたというんです。

信吾は菊子に、自分たちと別居して修一と二人でやり直してみたらどうかと提案するんだけど…。
 
「お父様とお母様と別々に暮らすなんて嫌」なんて言って

菊子は、修一との離婚を決心するのでした。

小説のラストは、菊子が修一と別れることまで書かれてなく、日常の会話で終わるんだけど、
映画の方は、明日に向かって進め的な終わり方になってます。


この映画の配役は、驚いたことに息子役の上原謙より父親役の山村聰の方が若いんです。
通りで、肌ピッカピカだと思ったけれどね。
以下は、公開当時(1954)の役者さんたちの年齢

尾形信吾 ( 夫 )…山村聰 (1910)44歳
尾形保子 ( 妻 )…長岡輝子(1908)46歳
尾形修一 ( 息子 ) …上原謙 (1909)45歳
尾形菊子 ( 嫁 ) …原節子 (1920)34歳
相原房子 ( 娘 ) …中北千枝子 (1926) 28歳
相原里子 ( 娘の娘 ) …斉藤史子
谷崎英子 ( 事務員 ) …杉葉子 (1928)26歳
絹子(修一の愛人)…角梨枝子 (1928)26歳
池田 ( 愛人の友達 ) …丹阿彌谷子 (1924)30歳
信吾の友人…十朱久雄 (1908)46歳
新しい事務員…北川 町子 (1932)22歳

配役の一番最後に書いた北川町子さんは、故児玉清さんの奥さま。
結婚を期に惜しまれつつ女優業を引退されたそうな。こんなにお美しいのに…もったいない。
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